2014年4月7日月曜日

第1部:政府・自治体のデータを公開する

政府・自治体のデータを公開する

パート1では、政府のデータの公開にともなう課題や成果について、実際の事例を通じて考察を行いたい。

第1章では、ソフトウェア開発者でありCode for Americaのフェローでもあったジョエル・マホニーの事例を取り上げます。ボストンで1960年代から議論の的となっていた公立学校への生徒割り当て問題について、政府の公開データの利用がどのような変革をもたらしたか、マホニー自身が回想しました。彼は、オープンデータが単に公開情報に基づく議論に貢献するだけでなく、社会的な価値を持つ解決に向けた政策の推進に向けて重要な役割を持つ点を指摘しています。(補足:このプロジェクトの仲で、彼は課題を解決するためにDiscoverBPS.orgという公立小学校選びのためのサービスを開発しました)

第2章では、米国内で最も包括的にデータ公開の仕組みを構築した自治体の一つであるシカゴ市を取り上げます。当時、シカゴ市のチーフ・データ・オフィサー(CDO)として仕組み化を推進していたブレット・ゴールドスタインが、プロジェクト中に市役所の中でどのような取り組みが行われたか見聞きしたことをもとに、「いかにテクノロジーを使って持続可能なデータ公開・共有のインフラを構築するか」について語ります。

第3章では、シカゴ市のオープンデータ推進戦略を別の視点から検証します。スマート・シカゴ・コラボレイティブというシカゴ市の課題をテクノロジーで解決する市民団体の代表ダニエルX.オニールは、現在2つのプロジェクトに携わっています。シカゴ市のオープンデータ推進チームと、地域でオープンデータを活用した課題解決を行う市民グループです。その視点から、彼はシカゴ市において「持続的なオープンデータ活用のエコシステム」を実現している「データ」「政策」「開発者」「資金」「プロダクト(成果物)」における重要な構成要素は何であるか解説しています。

第4章では、大都市における行政データ公開・共有の取り組みとして主要な事例である「ロンドン・データストア」について取り上げます。創設メンバーであるエマー・コールマンが、アメリカにおけるデータ公開とは違う文脈で、「ロンドン・データストア」の成り立ちや先行して検討された政策、公共空間におけるデータ公開の課題について語ります。

最後の第5章では、予算や人員などリソースが不足している小都市において、データ公開がどのようなインパクトをもたらすかについて考察します。ノースカロライナの都市アッシュビル(人口85000人)のCIOジョナサン・フェルドマンが、小規模な自治体特有の課題や可能性について指摘をしながら、長期的な投資としてのオープンデータ施策について語ります。アッシュビルでの新しいオープンデータ施策が都市のリソース効率化に果たした役割を紹介し、他の都市に対してオープンデータの実用性について検討するように勧めています。

(翻訳:後藤真理絵)

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